第12回 宮崎映画祭 12th Miyazaki Film Festival

宮崎映画祭コンセプト
宮崎映画祭の目的は、宮崎で映画を心から楽しめる場所を年1回、いつもは観客である地元の人たちの手で作り上げ、低料金で、通常の映画鑑賞とは違う空間を演出し、普段映画を観に行かない人たち(障害者の方、小さいお子様を持つ方を含め)に、もっと映画を観てもらい、映画の素晴らしさを再認識してもらう機会を作ることです。
「ニューヨークの舞台は観客がつくった」という言葉があるように、観る目をもつ観客を育てることが文化、芸術の発展につながると考え、その架け橋となるような映画祭を目指しています。
新旧様々な作品を揃え、映画への理解がより一層深まり、観た人の心に映画への愛情が育まれ続けて行くような映画祭を開催します。

宮崎フィルム・コミッション設立協賛企画  NEW!!
宮崎を舞台にした幻の作品を特別上映!
『100万人の娘たち』

[監督]五所平之助
[出演]岩下志麻、小畑絹子、吉田輝雄、牧紀子、笠智衆、乙羽信子、津川雅彦
1963年/日本/1時間36分 [配給]松竹

宮崎交通のバスガイドをモデルに描かれた青春恋愛映画。
『天国と地獄』の脚本家・久板栄二郎と、『煙突の見える場所』の監督・五所平之助が共同で執筆。宮崎空港、青島海岸、こどもの国、サボテン公園、大淀川、平和台公園、えびの高原など、多数の観光地で撮影。宮崎の風景を全国に売り出した記念碑的作品。

一ノ瀬幸子(小畑絹子)・悠子(岩下志麻)の姉妹は宮崎交通のバスガイド。今日の悠子のガイドは、はずんでいた。姉の幸子が全国バスガイドコンクールに優勝して帰って来るからだ。空港の歓迎の人混みの中、悠子をはじめ同僚の嬉しそうな顔があった。その中には、バスガイドの嘱託教師・小宮(吉田輝雄)の姿もあった。小宮は幸子を愛していた。幸子もまた小宮を慕っていた。二人の想いを知る悠子は、内気な姉のために、ある作戦をとることに。 二人の恋は実り、小宮と幸子は結婚する。夫婦になった二人の関係に入り込めない悠子は、一人寂しさを覚えるのだった・・・。
やがて、ダンス・ホールに同僚と姿を見せる悠子が人目をひくようになる。悠子は、小宮の部下の柏木(津川雅彦)に口説かれ、付き合いはじめる。
プレイボーイの柏木との仲を知った小宮は、柏木に交際を止めるよう迫るが、逆に殴られ大けがを負う。その一件で、悠子は小宮への想いを確信し、小宮もまた、悠子への想いが募っていくのだった・・・。

100万人の娘たち
© 松竹

宮崎映画祭(オルブライトホール)
6月17日(土)13:30より特別上映
全ての宮崎映画祭チケット(フリー券、一般券、子ども券)にて鑑賞可能


宮崎キネマ館
6月18日(日)〜30日(金)上映
特別料金1000円にて鑑賞可能
宮崎映画祭チケット(一般券、子ども券)でもご鑑賞いただけます。
※フリー券はご使用いただけません
上映時間は宮崎キネマ館ホームページ・宮日新聞にてご確認ください。
日本映画傑作選
直木賞作家・重松清の魂を揺さぶる衝撃作
『疾走』 dead run

[原作]重松清 [監督]SABU
[出演]手越祐也、韓英恵、中谷美紀、大杉漣、寺島進、加瀬亮、豊川悦司
2005年/日本/2時間5分 [配給]角川ヘラルド・ピクチャーズ [ 副音声 ]

"沖"と"浜"。2つの対極化された地域を舞台に、孤独と絶望を抱えることとなった主人公が、それでも心の中で"ひととのつながり"をもとめた「生」の軌跡。
重松清原作の同名小説に、運命的な出会いを果たしたSABU監督が、渾身の力を込めて脚本/監督をつとめたとった作品。
主人公シュウジを演じるのは「NEWS」の手越祐也。
脇を固めるのは豊川悦司、中谷美紀、韓英恵、寺島進、大杉漣と個性派俳優の揃い踏み。
衝撃の結末を見ずして何を語る!

トークショー 監督:SABU
© 2005『疾走』製作委員会
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大人のための純愛映画
『いつか読書する日』

[監督]緒方明
[出演]田中裕子、岸部一徳、仁科亜季子、渡辺美佐子、上田耕一、香川照之
2004/日本/2時間7分 [配給]スローラーナー [ 副音声 ]

50歳・独身の大場美奈子(田中裕子)は朝は牛乳配達、昼はスーパーで働き、日々を暮している。同じ町の市役所に勤務する高梨槐多(岸部一徳)は病気の妻の面倒を見ながら暮している。幼なじみの美奈子と槐多は昔の恋を秘めたまま現在に至っている。槐多の妻・容子(仁科亜季子)が毎朝の牛乳配達が美奈子であることに気づいたところから、新しいドラマが始まる。
「独立少年合唱団」で独自の世界を構築した緒方明監督の新作である。監督が少年時代に過ごした長崎でのロケが効果的。また、田中裕子は渾身の演技で高く評価され、昨年の各映画賞の主演女優賞を独占した。
久々に大人の鑑賞に堪える映画が出現した。是非お見逃しなきよう。

トークショー 監督:緒方明 プロデューサー:追分史朗 脚本:青木研次
          女優:仁科亜季子
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カーリングぅ!?
『シムソンズ』

[監督]佐藤祐市
[出演]加藤ローサ、藤井美菜、高橋真唯、星井七瀬、大泉洋、田中圭、高田延彦
2006年/日本/1時間53分 [配給]ドリームステージピクチャーズ
[ 日本語字幕 ] [ 副音声 ]

トリノ冬季五輪、試合を重ねるごとにお茶の間はヒートアップを重ねていった競技、憶えてますか?
そう、「氷上のチェス」カーリング。
そして一躍時の人となったチーム青森。
実は02年ソルトレークシティー冬季五輪でも、メンバーの数名は「シムソンズ」として出場してました。その彼女らの実話を元に映画化されたのが本作『シムソンズ』なのです。
ホタテとカーリングが名物の北海道常呂町。その町を舞台に地元の高校に通う主人公が、憧れの“マサト様”の一言で、カーリングチームを結成し北海道大会へとつきすすんでいくハートフルで爽やかな青春映画。
南国宮崎だからこそ、みんなでカーリングを!

トークショー 監督:佐藤祐市 プロデューサー:森谷雄
              [ 要約筆記 ] [ 手話通訳 ]

©2006「シムソンズ」製作委員会
恋愛映画傑作選
ポップ!キュート!クスッと笑えるラブストーリー
『小さな恋のステップ』 a step of my little love

[監督・脚本]チャン・ジン
[出演]チョン・ジェヨン(『シルミド』)、イ・ナヨン(『英語完全征服』)
2004年/韓国/1時間47分 [配給]ハピネット・ピクチャーズ

突然恋人に振られ、医者から余命3ヶ月と宣告されたプロ野球選手トン・チソン。彼の家からわずか39歩の距離に住み、長年彼に想いをよせるハン・イヨン。ふたりが、ただの知り合いから恋人にステップアップしてゆく様を、意表を突くシュールなギャグを織り交ぜ展開していく、新感覚ラブストーリー。
監督は、韓国のクドカンこと、チャン・ジン。主演は『シルミド』のチョン・ジェヨンと『英語完全征服』のイ・ナヨン。彼女は今作品で、韓国のアカデミー賞、青龍賞主演女優賞を受賞している。俳優陣の好演にもぜひ注目して欲しい!
“2人の距離は、近くて遠い、39歩。39歩の遠距離恋愛。”従来の韓流恋愛映画とは一味違う、ポップでキュートなラブストーリーをぜひ劇場で堪能して欲しい。
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永遠に続くたった一日の恋
『ローマの休日』 Roman Holiday

[監督]ウィリアム・ワイラー
[出演]オードリー・ヘプバーン、グレゴリー・ペック、エディ・アルバート
1953年/アメリカ/1時間58分 [配給]パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
Copyright ©1953 Paramount Pictures Corporation. All rights Reserved. TM. ® & Copyright ©2003 by Paramount Pictures. All rights Reserved.

ローマを訪問した某国の王女。日々の公式行事に飽きあきした彼女はついに官邸を脱出、ローマの街へと繰り出した。その王女の醜聞を付け狙う新聞記者。正体を偽りながら、時を過ごす二人の心の中には、いつしか立場を超えた感情が芽生えていく。
…などと説明などしなくても誰しもが知っている全世界でもっとも有名なラブストーリーをデジタル技術で再生。
ピッカピカのフィルムで初めての人は勿論、何度も見た人にも新鮮な感動が味わえる。
映画史上最高のヒロイン=オードリー・ヘップバーンの可憐な姿が時代を超えて蘇る!

海外映画傑作選
日々変わりゆく北京の“いま”
『世界』 The World

[監督]ジャ・ジャンクー
[出演]チャオ・タオ、チェン・タイシェン、ジン・ジュエ、チャン・チョンウェイ、ワン・ホンウェイ
2004年/日本・フランス・中国/2時間13分 [配給]オフィス北野

北京に実在する「世界公園」。その公園内には、なんと40カ国109箇所もの著名な建造物が10分の1のスケールで再現されている。さしずめ世界一周旅行をパスポートを持たずにできる場所なのである。物語は、この公園で働く一組のカップルを中心におりなす人物模様を織り込みすすんでいく。
監督はベルリン、ベネチア、カンヌの世界3大映画祭で絶賛され世界が注目する若き巨匠ジャ・ジャンクー。
中国の今が描かれていることもさることながら、私達が身近に抱えるであろう事柄がテーマとなっている点は、題名がしめすとおり「世界」の今なのだ。
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一番大切な事を教えてくれたのはママだった
『スパングリッシュ 太陽の国から来たママのこと』 Spanglish

[監督]ジェームズ・L・ブルックス
[出演]ティア・レオーニ、アダム・サンドラー、パズ・ヴェガ
    クロリス・リーチマン、シェルビー・ブルース
2004/アメリカ/2時間11分 [配給]ソニー・ピクチャーズエンタテイメント

“スパングリッシュ”とはアメリカで暮らすヒスパニック系の人々によって話されるスペイン語と英語が入り混じった言葉のこと。ヒスパニック系が多く住むロサンジェルスを舞台に、文化も境遇も異なる2つの家族との交流と、ママと過ごした17年をビターかつスウィートに娘が綴る物語。
愛する娘のために故郷のメキシコを離れ、ロサンジェルスに移り住んだシングルマザーのフロール。ロクに英語も話せない彼女だったが、裕福なクラスキー家でハウスキーパーとして働くことに。一見は幸せそうな家族、しかし内実は様々な問題を抱えていた。
家族の愛、母の愛、男女の愛を“もう一度”考えさせるおすすめの一本です!

ゴダール復活!!
赤いバッグの少女が奇跡を起こす
『アワーミュージック』 NOTRE MUSIQUE

[監督・脚本]ジャン=リュック・ゴダール
2004年/フランス=スイス/1時間20分 [配給]プレノンアッシュ

世界最高の映画作家であるジャン=リュック・ゴダールが齢75歳にして創り出した最新・最高傑作。
全体は3部構成となっており、ありとあらゆる戦争のニュースフィルムや戦争映画のイメージで満たされた第1部の“地獄篇”、ある一人の映画作家とユダヤ人少女オルガとのサラエボでの出会いと交感を描く第2部“煉獄篇”を経て、エピローグである第3部“天国篇”へと続く。
さりげなく映し出されるサラエボの風景に、観客は戦争・世界・民族についての深い省察へと導かれるだろう。
映画表現の可能性と、ひたむきさへの慈しみが渾然一体となって胸を打つ感動作。
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リアルなパリがここにある
『パリところどころ』 PARIS VU PAR...

[監督](第一話)ジャン=ダニエル・ポレ、(第二話)ジャン・ルーシュ
    (第三話)ジャン・ドゥーシェ、(第四話)エリック・ロメール
    (第五話)ジャン=リュック・ゴダール、(第六話)クロード・シャブロル
1965年/フランス/1時間32分 [配給]ザジフィルムズ

ヌーベル・バーグ全盛期の監督6人が、パリの街を舞台に競作したオムニバス映画『パリところどころ』がニュープリント版として復活し、再びスクリーンに戻ってきた。
“時にエレガントで、時にファッショナブルで、時に荒々しく、時に凶暴で、時に淫らなパリ”。様々な顔を持つパリの日常を、ゴダール、ロメール、シャブロルらが独自の味で魅せてくれる。それが『パリところどころ』である。特に、ジャン・ルーシュ監督の「北駅」は、傑作とされ、15分のエピソードをわずか3カットで撮影したことでも有名である。
シニカルかつユーモラス。シュールでキュートでファッショナブル・・・。60年代のパリがそこにある。オシャレに身を包み、映画館へ急げ!

リズムを感じよう!
あらゆる感覚を刺激する不思議な音の世界
『Touch the Sound』

[監督]トーマス・リーデルシェイマー
[出演]エヴリン・グレニー(パーカッション)、フレッド・フリス(ギター)
    オラシオ・エルナンデス(ドラム)、鬼太鼓座ほか
2004年/ドイツ/1時間40分 [配給]ソニーコミュニケーションネットワーク

聴覚に障害を持つパーカッション奏者、エブリン・グレニーが世界各地を旅する中で感じた音をとらえたドキュメンタリー。
ニューヨークでは、駅のホールに置かれたスネアドラムをたたき出し、行き交う人々を魅了する。ドイツの廃工場では廃材を楽器にして様々な音を生み出す。日本の富士市では太鼓集団のメンバーと競演。
彼女はその中で、「音楽は耳で聞くものではなく、体全体で聞くもの。他者と共有するもの」と言う。これは、昨今の携帯型音楽プレーヤー等の急速な普及によって、音楽を聴くことをますます「耳」という体の一部にとどめがちな現代人の音楽観の根底を揺さぶる言葉ではないか。
音楽にはまだまだ可能性がある事を思わせてくれる作品。
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LIFE with SONGS
『鴛鴦歌合戦』 OSHIDORI UTAGASSEN

[監督]マキノ正博
[出演]片岡千恵蔵、市川春代、志村喬、ディック・ミネ、服部富子、深水藤子
1939年/日本/1時間9分 [配給]日活

時は江戸時代。骨董好きの親父が「値打ち物だ」としてつかまされた信楽茶碗は、本当に希代の逸品だった。その茶碗を巡って巻き起こる大騒動!
殿様・骨董屋・親父・その娘・その恋人など、登場人物が全て歌っては踊りながら、世にものんきな争奪戦が繰り広げられていく。
今年の宮崎映画祭で、製作年度は最も古いにもかかわらず、最高にモダンなサムライ・チョンマゲ・オペレッタ!見なければ一生の不覚となる、知られざる日本映画史上の最高傑作が、デジタルリマスター版で登場!

光と影のファンタジー
魅惑の影絵アニメーション
『ロッテ・ライニガーの世界』

 * アクメッド王子の冒険 1926年/ドイツ/1時間5分
 * 眠れる森の美女 1954年/イギリス/10分
 * 長靴をはいた猫 1954年/イギリス/10分
[監督・影絵アニメーター]ロッテ・ライニガー
[配給]エデン
※世界初長編アニメーション

イスラムの王カリフの前に、世にも珍しい「空飛ぶ馬」を操る魔法使いが現れる。王がその馬を譲るように頼むと魔法使いはとんでもない交換条件を申し出て・・・
子供のころ、自分の手でキツネの顔やチョウの形の影を作って遊んだり、人形劇をワクワクしながらみてたなぁ・・・そんな懐かしい記憶がよみがえる。
繊細に切り抜いて作られたレースのように華麗な宮殿や森は観る人の心をつかんで離さない。そしてその魅力のとりこになってしまうのである。
ドイツの影絵作家ロッテ・ライニガーの美しくも幻想的な世界は、現在もなお世界中の数多くのアーティスト達に影響を与え続けている。そしてその輝きは長い時を経た今も失われることはないのである。
世代を超え、子供から大人まですべての人にこの“光と影”の世界を体験してほしい。そして心のどこかにそっとその世界をしまっておいてくれるといいな、と思う。