「世界遺産」とは何か

「世界遺産」って何?
●何をするためのもの?
 国や民族にとらわれず、人類共通の遺産として、次世代に受け継いでゆくべき文化財や自然を、人類全体で協力し、保存してゆこうとするものです。対象の内容によって、遺跡や建築物のように人が作った「文化遺産」と地形や生物、景観などを含む地域を指定する「自然遺産」および文化と自然の両方を含む「複合遺産」の三つに分けることができます。
 
誰が考えたの?
 国連教育科学文化機関(ユネスコ)という世界の教育や文化、科学を担当する国際機構の総会に集まった世界各国の代表によって「世界遺産」を設けることが合意されました。
 
どこにあるの?
 2002年6月現在で、世界中で730の「世界遺産」が指定されています。日本には、文化遺産として姫路城、法隆寺地域の仏教建造物、古都京都の文化財、古都奈良の文化財、日光の社寺、白川郷・五箇山の合掌造り集落、原爆ドーム、厳島神社、首里及び周辺のグスクの9ヵ所、自然遺産として白神山地、屋久島の2ヵ所があります。
「世界遺産条約」って何?
●どんなことが決められているの?
 「世界遺産条約」は正式名称を「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」と言い、「世界遺産」の目的や指定の方法や基準はもちろん、加盟国が「世界遺産」を保護・保存する義務や、国際的な援助の義務、教育活動の強化等が書かれています。
 
いつできたの?
 1972年のユネスコ総会で採択されました。日本が加盟したのは1992年です。2002年6月現在で世界125ヵ国が加盟しています。
 
誰がお世話をしているの?
 「世界遺産条約」は、条約が円滑に運営されるように、「世界遺産委員会」を設置するよう定めています。この委員会は、世界遺産の指定、状態のモニター、基金の運営、条約実施のガイドラインの作成等の役割を果たしています。また、ユネスコは「世界遺産条約」の作成から実施まで、全面的に支えています。特に1992年にはユネスコ世界遺産センターを設立し、力を入れています。これら以外にもIUCN(国際自然保護連合)やICOMOS(国際記念物遺跡会議)、ICCROM(文化財の保存及び修復の研究のための国際センター)、各国の国内ユネスコ委員会なども条約の実施に協力しています。
「世界遺産」ってどうやって決めるの?
誰が決めるの?
 ※国内・・・まず国内で、文化財保護法や自然環境保全法、自然公園法などで保護されている物件の中から、国が推薦に値すると判断した物件を世界遺産委員会へ推薦します。具体的には文化遺産は文化庁、自然遺産は環境省が主に担当します。
 
 ※国際・・・各国から推薦された候補について、文化遺産候補はICOMOS、自然遺産候補はIUCNが評価報告を行います。その結果を踏まえて、毎年一回開催される世界遺産委員会で、ICOMOS、IUCN、およびICCROMを交えて候補地を審査し、世界遺産の認定を行います。
 
どんな基準で選ぶの?
 「自然遺産」に関しては、地球の歴史の主要な段階を代表する重要な物件、生態系や生物群集の進化発展において、重要な進行中の生態学的生物学的・過程を代表する地域、類例を見ない自然の美しさ、または美観的にみて、すぐれた自然現象あるいは地域、すぐれて普遍的価値をもち、絶滅のおそれのある種を含む、野生状態における生物の多様性の保全にとって特に重要な生息生育地等の条件が認定に必要とされています。「文化遺産」に関しては、人間の創造的才能を表す傑作、建築物、技術、記念碑 文化的伝統や文明に関する独特な、あるいは稀な証拠、都市計画、景観設計の発展に大きな影響を与えた人間的価値の交流を示すもの、人類の歴史の重要な段階を物語る建築様式、あるいは建築的または技術的な集合体、ある文化(または複数の文化)を特徴づけるような人類の伝統的集落や土地利用の一例であり、その存続が危うくなっているもの、顕著で普遍的な価値をもつ出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある、あるいは景観に関するすぐれた見本等の条件を満たすことが要求されています。
「世界遺産」になるとどうなるの?
どんないいことがあるの?
 国際的な保護、保存の対象として守られることになります。特に開発途上国の場合には、保護、保存に必要な資金や技術の国際協力を受けやすくなります。また、「世界遺産」を持つことは、住民の誇りともなるでしょう。
 
誰が守るの?
 「世界遺産」ですから、もちろん「世界」が守ることになりますが、現実にはまずその世界遺産がある国の政府や自治体が大きな責任を負うことになります。しかし、経済的、技術的な理由でそれが不可能な場合には、国際的な協力により守ることになります。また、世界遺産の保存、保護の状況については、国際的にモニターされます。ですが、やはり何と言っても大切なのは地域の人々の自発的な努力です。
 
住んでいる人はどうなるの?
 「世界遺産」に指定されたことにより、大きな変化が発生することはあまりありませんが、保存や保護の一環として道路等の環境整備が実施されたり、また、新しい規制が設けられたり、規制が厳しくなったりすることもあります。当然ですが、「世界遺産」に指定されたことにより、有名になり、国内外からの訪問者が増えるなどの変化も考えられます。
「世界遺産」と私たち
私たちの義務と責任
 「世界遺産」はどこか遠いところで、誰か偉い人が決める問題ではありません。「人類の共通の遺産」ということは、私たち一人一人の財産でもあるということです。「世界遺産」の選別と維持に関しては、人間一人一人の自覚と責任感が不可欠だと言わなくてはならないでしょう。

(文責:宮崎公立大学 広瀬 訓)

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